aerosmith

 言わずと知れた、アメリカを代表する偉大なロックバンド。
 私の高校時代は、Van Halenと共にこのバンドが青春だった。正に、ハマっていた。大学時代には2度、大阪ドームでのライブに足を運んだ。
 基本的に、私が惚れ込むアーティストの重要なポイントはボーカルにあるが、ここでもやはり当てはまる。スティーブン・タイラーの嗄れていて非常に高い声、年齢を感じさせないパフォーマンス、そしてあの例の顔が、私は大好きだ。 そして、この大きすぎる怪物バンドの持つ、独特のノリが好きだ。とにかく全体的にノリが良いのだ。誤解を恐れずに言えば、ハードロックなのにどこか軽いのだとも言える。彼らがLed Zeppelinの影響をモロに受けている事は、初期の作品やギターのジョー・ペリーを一目見れば分かるのだが、しかしあのノリは、そのZeppelinにもないもので、それが彼らの個性であり、主張なのだろうと思う。また一昔前のハードロック・バンドと言えば、シングル曲にアコギ中心のバラードを持って来て売っていくという風潮があったが、彼らはそれをしない。あくまでもエレキギターが中心の音で、美しさや壮大さ、ヘビーさをも兼ね備えたバラードを作る。またそのような曲が、スティーブン・タイラーの声に見事にマッチするのだ。
 文句なしに本物のロックンロールバンドだ。ここまでの30年以上の歴史は、もはや伝説的だ。
 ただAerosmithに関して残念な事は、ただ1つの全米No.1記録を出した曲が、 彼ら自身による楽曲ではなかった事だ。確かに、あの中弛みする映画の主題歌は名曲だったが、これはいちファンとして悔しい。

2006.6.23

 

Nine Lives(1997)

   

 Aerosmithの中でも特にお気に入りの一枚。高校時代には数え切れないほど聴き倒しているし、大学でAerosmithのコピーバンドをした時は、どの曲が良いか悩みすぎて、ここから選ぶのを断念した事もある。このジャケットも好きのなのだが、ヒンズー教団体か何かから「馬鹿にしている」だとか何だとか抗議を受けて、変更されてしまった。
 私が知る限りでは、このアルバムが最もヘビーに仕上がっていて、非常に聞き応えがある。初っ端からンギターのハウリング音が轟き、謎の猫が何匹か叫んだかと思うと唐突に前奏のドラムが始まって、スティーブンがとんでもないシャウトを放つ。インド風のアレジやメロディーもそれまでには無かったし、これでもかと言うほどストリングスを多用しているし、激しい曲はとことん激しくやっているし、バラードもかなり力が入っていて、彼らのどのアルバムよりも壮大でヘビーだ。そういう意味では、上で書いた「軽いノリ」もこの作品では隠れ気味で、このアルバムだけが少し浮いた存在だという事になる。事情は様々あるようだが、そんな事はどうでも良いので触れない。売り上げ的にもどうだったか覚えていない。
 今や忘れられているに等しいだろう微妙な時期に出た作品だが、これは名盤だと胸を張って言わせてもらおう。

2006.6.23