nine inch nails
アメリカのソロ・ユニット。インダストリアル・ロック(メタル?)と呼ばれるジャンルの祖。
ライブや一部のPVではロックバンド形式を取っているが、基本的にはTrent Reznorという男が一人で孤独にやっている。そのロゴマークから「NIN」と略して書かれることもある。
救いようがないくらいネガティブな歌詞に、耳障りなノイズや不自然に加工された歪んだギターの音、そしてその合間に希に出てくる美しいピアノやアコギの音が特徴的だが、楽曲としての作りは実はシンプルな物が多い。
その暗さと作り込まれた個性的なサウンドがとっつきにくく、日本での人気はいまひとつのようだ。だが一度ハマると、まるで新興宗教信者みたいに崇拝するようになる人が多い。至る所で「カリスマ」と呼ばれる所以はそこだろう。「カリスマ」なんて、一時期日本国内で無闇やたらに使われていた言葉で、個人的には嫌いなのだが、NIN教在家信者の一人である私からしてみれば、彼こそは本物だと言わざるを得ない。それに
、Nirvanaが世界を騒がせる以前から、既にオルタナティブ的な音楽性を確立していたという事実だけでも、十分称賛に値する。 また、Marilyn
Mansonを世に送り出したという事でも有名である。
サウンド面のみならず、もちろんボーカリストとしての表現力も備えていて、小手先でエフェクトを多用する必要はなく、こみ上げる感情を吐露するように叫び、また堪えるように囁き、そしてシラけたように冷静に、実に様々に歌い上げて聴く者を引き込んでいく。
ライブは、音・光・映像・パフォーマンスの全てに拘った、完璧主義的なイメージ。一昔前までは、彼のライブと言えば破壊・破壊・破壊だったが、最近は割とそうでもなくなった。同時にサウンド面でも、最近の作品ではある程度の落ち着きを見せている。
作品の発表頻度は非常に少なく、フルアルバムとなると5年に1度のペース。そして滅多に来日しない。
2006.5.11